沿革

2021.04.06

1.研究室の歴史

広島大学のインド哲学分野は1972年に開設されました(開設当時は「インド哲学講座」)。中四国では唯一の、本格的にインド哲学・仏教学を学べる研究教育機関としての役割を果たしています。インド論理学・ジャイナ教などを専門とする宇野淳(1974〜1985年教授)、仏教認識論・論理学・中観思想などを専門とする桂紹隆(1976〜1978年専任講師、1978〜1989年助教授、1989〜2004年教授)、サンスクリット文法学・言語哲学などを専門とする小川英世(1984〜1990年助手、1990〜1993年専任講師、1993〜2013年助教授・准教授、2013年〜2018年教授)が歴代の教授を務め、インドの六派哲学、インド・チベット仏教、サンスクリット文法学、サンスクリット文学などを幅広く学べる環境を作り上げてきました。

2.カリキュラム・授業内容

学部(文学部>哲学・思想文化学コース>インド哲学・仏教学分野)では、サンスクリット語と古典チベット語を習得した上で原典読解の方法論を学び、六派哲学、インド・チベット仏教、サンスクリット文法学、サンスクリット文学などの多彩な分野の中から学生各自の関心に合わせて卒業論文のテーマを選ぶことができます。

研究科(人間社会科学研究科>人文学プログラム>インド哲学分野)では、精密な原典読解を中心とする個別の論文指導を通じて、各自の研究領域についての理解を深めます。英語による学会発表・論文執筆の支援も積極的に行なっています。近年では、チベット、中国、スリランカなどからの留学生を多数受け入れており、論文ゼミでの議論などを通じて、幅広い仏教文化に触れる機会を設けています。

3.研究の特色

本研究室はこれまで仏教認識論・論理学の研究で著しい成果を挙げ、国内外で活躍する数多くの研究者を輩出してきました。根本裕史(2014〜2017年准教授、2017年〜教授)の着任後はチベット撰述文献の研究にも力点を置き、チベット中観思想・認識論やチベット古典文学に関する研究・教育を展開しています。2018年と2019年にはチベット学セミナーを開催し、国内外の研究者を集めてチベット仏教・歴史・文学についての共同研究を行なっています。さらに、サンスクリット文法学・語源学や詩学を専門とし、ヴェーダ学にも明るい川村悠人(2019年〜准教授)の着任により、これまで以上に多角的な視点からのインド哲学・仏教学研究が可能となりました。

『マハーバーシャ』未出版註釈書の写本
ツォンカパ『正理大海』ショル版

4.研究成果の発信

哲学分野の教員等と共同で比較論理学プロジェクト研究センター(2003年〜)を組織し、定例研究会を開催しています。プロジェクト構成員の研究成果の発信を目的として、年刊誌『比較論理学研究』を刊行し、論理学に限らずインド哲学・仏教学の幅広い分野に関わる最先端の論考や翻訳研究を公開しています。

九州大学インド哲学史研究室と共同で、西日本インド学仏教学会を運営しています。毎年開催している学術大会は2019年で第30回目を迎えました。九州・広島の二大学のみならず、山口県立大学筑紫女学園大学京都大学筑波大学などから参加者を集める歴史ある学会となっています。

さらに、本研究室では公式Facebook(「広島大学インド哲学・仏教学」)を設置し、随時情報を発信していますので、ご覧頂けると幸いです。

学外研究者による講演会